システム共同リニューアル
グループ418拠点で導入へ
大東建託グループで賃貸住宅を125万戸超管理する大東建託パートナーズ(東京都港区)は、契約関連業務の電子化に本腰を入れる。
子会社のキマルーム(広島市)が提供する電子契約システム「キマルーム Sign(サイン)」を共同で刷新。7月から大東建託パートナーズの営業所178拠点、賃貸仲介を行う大東建託リーシング(東京都港区)の不動産仲介店舗240店、合わせて418拠点への導入を進めている。
キマルーム Signは、入居申し込みから契約までウェブで行えるシステム。今回の共同リニューアルのポイントは大きく三つだ。
一つ目は、契約ごとに書類一式での課金としたこと。管理会社の契約の電子化にあたってのコストを抑えることができる。一般的に、電子契約サービスは署名ごとに料金が発生する商品が多いという。賃貸借契約では複数の書類が発生する。重要事項説明書、賃貸借契約書に加え、特約、条例など、複数の書類への署名や送付が必要となっていたものを、一式として、取り扱うことができるようにした。
二つ目が、利用者の利便性を高めた点。新たにナビゲーション機能を付けることで、次に何のアクションを行えばいいかをわかりやすくした。初見の利用企業を想定し、使い勝手の良さを重視した改良を行った。
三つ目が、電子申し込みのカスタマイズしやすさだ。キマルームがこれまで培ってきたノウハウにより、賃貸住宅の申込書の記入欄を約3000の部品に体系化。この部品を組み合わせることで、管理会社ごとに自社に適した申し込みフォーマットを作ることができる。
賃貸業界のDX推進目指す
大東建託パートナーズの狙いは、グループとしてのデジタル化だけでなく、管理の最大手として賃貸住宅業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していくことだ。同社は宅地建物取引業法の改正による電子契約の全面解禁後の2022年11月から賃貸借契約の電子化を開始した。
取引のある仲介店舗数は全国で約3万5000店に上る。同社が賃貸借契約時にキマルームSignの利用を基本とすることで業界での電子契約の普及につながるとみる。
大東建託パートナーズのマーケティング企画管理部櫻庭沢海部長は「賃借人・管理会社・仲介会社の3者にとって、電子申し込み・契約を使うのが初めてでもわかりやすいシステムになった。一度、便利さを実感してもらえれば、仲介不動産会社の電子契約利用のハードルを下げられ、業務の効率化に貢献できると考えている」と語る。
キマルームの西野量社長は「ほぼシステムをゼロから作り直したフルリニューアルとなった。法人契約のフローも加えたが、今後は社宅代行サービス会社に対応可能なシステム改良も行っていきたい」とコメントした。
(2024年7月1日1面に掲載)