実施率80%、繁忙期の残業軽減
石川県金沢市を商圏とする総合不動産会社ののうか不動産(石川県金沢市)は、従業員の残業時間を削減するため、契約関係業務を宅地建物取引士(宅建士)の有資格者に業務委託する。
同社は現在、通年で2人、繁忙期には追加で3人の宅建士有資格者と提携。ITによる重要事項説明(IT重説)は業務委託の宅建士に任せる。1契約ごとの単価を決めて、契約を結んでいる。
人によって説明の質に差が生じないように、同社で作成した動画マニュアルを用いながら、重説のロールプレーイング研修を1カ月ほど行ったうえで業務にあたる。繁忙期には、これまで従業員が行っていた重説などの業務を外部の宅建士に委託して、残業時間を削減している。
同社の顧客の75%は学生だ。部屋探しをする時点で遠方に住んでいる顧客も多い。そのためIT重説の普及にも力を入れており、業務委託の宅建士と顧客の双方が契約手続きを円滑にできている。2022年度のIT重説の実施率は57%だったが、23年度は3月13日時点で80%まで上昇した。
同社の年間の仲介件数は3660件で、そのうち70~80%は1月から3月に集中している。繁忙期では業務が立て込み、残業時間が増えていたことを是正したいと考え、21年から宅建士への業務委託をスタートした。賃貸管理部リーシングサポート課の下田一友マネージャーは「従業員にとっては、繁忙期における退去の際の住戸確認に充てるなど、重説とは別に行うべき業務に集中することもできている」と話す。
今後はIT重説の実施率100%を目指すと同時に、IT重説のタイミングで物件の契約に伴う付帯商品の紹介といった、売り上げを生み出す業務の手法も視野に入れる。
(2024年5月6日2面に掲載)