東京海上ミレア少額短期保険、賃貸向け少短 保有契約146万件【新社長インタビュー】

東京海上ミレア少額短期保険,東京海上ホールディングス

インタビュー|2024年05月30日

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東京海上ミレア少額短期保険 神奈川県横浜市 明樂 裕 社長(56)

 東京海上ホールディングス(東京都千代田区)のグループ会社である東京海上ミレア少額短期保険(以下、ミレア:神奈川県横浜市)の新社長に4月1日、明樂裕(あきら・ゆたか)氏が就任した。新体制の下、営業力強化を目指す。

新体制下で営業力強化に注力

チームで課題解決 統率力が持ち味

 明樂社長はチームで顧客企業の課題解決提案を行ってきたキャリアを生かし、今後は不動産会社のDX(デジタルトランスフォーメーション)化による営業力の強化に注力する。

 ミレアは、賃貸住宅の入居者向け家財保険「お部屋の保険ワイドⅡ(ツー)」を提供している。約146万件の保険契約を保有し、2023年度の新規契約件数は25万件弱だった。不動産会社の代理店社数は約1800社(23年度末時点)だ。

 明樂社長は、グループ会社である東京海上日動火災保険(東京都千代田区)に1991年、新卒で入社した。ミレアに異動するまでの約30年間で大企業が抱える課題の解決に向けた提案のほか、自社サービスや保険商品の営業などを経験したという。

 その中でも、企業の総合的な課題解決支援を行う企業営業開発部に6年間所属していた。明樂社長は「既成概念に捉われない発想と、トップダウンにならないチームのつくり方を重視し取り組んできた」と話す。

 同部署では企業の課題に対するソリューションの開発と提案を行っていた。提案の内容は、顧客企業の福利厚生の開発や見直しなどだ。福利厚生の提案を行った際には、マイカー通勤可を提案し、自動車保険の商品提供にもつなげた。

 それ以外にも、業務効率化のためのシステム導入の提案や、事業を行ううえでのリスクマネジメント方針策定の支援など、顧客企業の経営に関わる提案を行っていた。特に規模の大きい大企業が商談相手である場合、複数社が参加するコンペ形式での提案に挑むこともあった。

 顧客の要望によっては東京海上日動火災保険にない商品が求められる場合もあった。その際には、他部署と連携を取り、新サービスの開発に取り組んだ。相手が望むサービスの提供にこだわることで顧客の信頼を獲得していった。

 チームビルディングも重視したポイントの一つだ。提案は基本的に個人では行わず、チームで提案内容を構築することが常で、メンバーをまとめる力が求められた。

 2018〜22年にかけては新設部署の立ち上げに従事。デジタル部門や、脱炭素に関連するソリューション開発を行う部門など、二つの部署の立ち上げのリーダーを務めた。各部署の立ち上げにはそれぞれ半年間をかけた。

 明樂社長は「新部署の設立時には、顧客企業が抱える課題やそれに対してどのようにアプローチをするのがいいのか、新部署の意義とは何なのか、チームメンバーとのディスカッションをお互いが納得いくまでとことん行った」と話す。

体制を盤石に DX進め差別化

 明樂社長はミレアの社長として、デジタルを活用した営業体制の強化を図る。

 同社は従業員数108人のうち、約40人が営業社員で、不動産会社への代理店営業などを担当する。営業社員の人数に対しては万全であると感じる一方、営業社員の提案スキルの引き上げを行っていきたいとしている。

 目を付けたのは、DX化だ。大きく二つの狙いがある。一つ目は代理店の利便性の向上、二つ目は蓄積したデータを生かした提案力の強化だ。

 一つ目の利便性向上については、現在は不動産テック企業や家賃債務保証会社と連携。入居申込時に家財保険の申し込み、家賃債務保証契約の締結がワンストップで行えるようシステムをアップデートしている。それにより賃貸仲介会社は入居申し込み、家財保険と家賃債務保証の申し込みが、一度の顧客情報の入力で完了する。

 二つ目の提案力強化について、足元では、顧客情報のデータベース化を構想している。顧客情報を一元化し、社内に蓄積した情報の引き出しをさらに容易にすることで、相手企業によりマッチした提案内容になることを期待する。データベース化が可能なシステムの活用を進めることで、営業社員のスキルの底上げに注力していく。

 明樂社長は「少額短期保険は商品での差別化が難しい。マーケットとしても利用率が高い水準にまで到達しており、成熟感があると感じている。そうした中で他社との差別化を図るためには、利用のしやすさが重要になってくるだろう」と話す。

(國吉)
(2024年5月27日20面に掲載)

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