「怒鳴る」「責める」ことの事業リスクが高まるこんにち。ハラスメントのシリーズ第4弾では、被害者が発生している段階での階層別対処法について論じる。
ことなかれ主義 管理職には悪手
一連の社内パワーハラスメントについての連載で、さまざまな方からダイレクトメッセージをいただいている。しかし、その大半は「被害者側」からだ。
これまでの3回の連載は、「加害者にならないために」という観点だった。例えば、過去3回の当連載のコピーを、加害者の机の上に置く(実際にそうした人がいた)。しかし、指導中に「スマートフォンで録音するとか姑息なまねはしていないだろうな」とさらに圧が増した、ということもあったそうだ。性格改善や意識改革ではなく、スキル習得であるため、「そのスキルを身につけない」という暴君対策には向かないのだ。
賃貸仲介は、5人に1人の割合で宅地建物取引士の免許が必要であり、各店舗が「本社から離れた店」で「1~5人」で仕事をするという「小さな孤島」で共通の売り上げを追う組織体となる。
昨今の課題は「仲良し店長」「仲良し課長」の存在で、この小さな組織で「嫌われないように」「気を使って」「日々、つつがなく過ごす」というタイプのミドルマネジメントが増えているという状況だ。
こういう人の下につくと「昨日、店長会議で付帯を売れとか言われたけど、やらなくていいよ」「繁忙期なのに早く帰れとか言われたけど、そんなのできないよね。社長は現場を知らないんだよ」といった「経営否定」の店長となり、数字が上がらなくなる。