駅遠物件の空室対策に貢献
電動マイクロモビリティーのシェアリングサービス「LUUP(ループ)」が、賃貸住宅の空室対策や入居者満足度の向上に寄与している。
LUUPは電動キックボードと電動アシスト自転車を、駐輪所となる「ポート」で借りて利用することができるサービス。Luup(東京都千代田区)が2020年5月より提供している。
サービス提供エリアは東京都や大阪市、愛知県名古屋市などの都市部で、ポートの数は24年2月13日時点で約6000カ所。駅周辺からオフィス街、住宅街まで密度を高くして設置している。
ポートの導入は、1階の敷地で自動販売機2台分以上のスペースがあれば可能。土地所有者側に導入の負担はなく、月額賃料をLuupが支払う仕組みだ。同社スタッフがポートを巡回して各車両のバッテリーを交換するため、給電設備の設置も必要ない。
Luupを利用する際は、専用アプリでポートの場所と利用可能な車両を確認して予約するか、現地で車両を選択する。車両に付属するQRコードを読み取り、返却先のポートを登録することで車両の電源が入る仕組みだ。
電動キックボードの利用には、23年7月に施行された改正道路交通法により、16歳以上であることの証明と専用の交通ルールテストの設問にすべて連続で正解することが必須となる。料金は、24年3月1日より基本料金50円のほか、1分あたり15円の時間料金を加算。定額制の「サブスクプラン」では月額980円のほか、30分ごとに200円(いずれも税込み)の時間料金が加算される。
ポートを設置した築古アパートでは、若い世代の入居者が増えて満室になった事例もあるという。物件の案内資料に「LUUP有」と記載する物件もあり、入居率や入居者満足度の向上に寄与するサービスになっている。「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」をコンセプトに、25年中にポートを1万カ所まで設置することを目指す。
広報部の松本実沙音部長は「今後は地方への導入のため、自治体との実証実験などをさらに推進していく」と話す。
(2024年2月26日9面に掲載)