大手建築会社の土屋ホールディングス(以下、土屋HD:北海道札幌市)は11月16日、北海道恵庭市が公募した団地の建て替え事業に選ばれたことを発表した。同事業では民間資金を活用するPFI方式が採用されており、土屋HDの木造中層賃貸住宅商品「LAPEACE(ラピス)」を供給する。同社にとって初めての公営住宅建築だ。竣工は2025年末を予定する。
木造ZEH賃貸を本格展開
同事業の提案価格は26億円。「恵庭市営住宅恵央団地」を建て替え、4階建ての集合住宅を1棟60戸、平屋を5棟20戸建築する。建築施工はグループの土屋ホーム(同)、建物管理は土屋ホーム不動産(同)が担う。
恵庭市の土地を無償で借り、土屋HDの資金で物件を建築後、市が借り上げる。2046年に土地と建物を土屋HDが市に譲渡する。20年間で家賃収入を得つつ、物件の減価償却を終えるスキームだ。また、団地の建て替えエリアに隣接する付帯事業用地を市から購入し、注文住宅用地として11区画の分譲販売も行う。
今回建築する物件の最大の特徴は、北海道産木材を活用したZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様である点だ。木造でありながら、RC造と同等の45年の耐用年数を誇る。
大吉智浩副社長は「本事業が、物件構造に対する制限がないPFI方式であったことが、参画の大きな理由。主力の注文住宅事業で蓄積した木造建築のノウハウを踏襲した木造賃貸商品を提供する機会となった」と話す。
今後は公営、民間を問わず、木造賃貸住宅の建築プロジェクトへの参入意欲を示す。「まずは建築体制が整っている道内を中心に、木造賃貸商品の展開を強化する」(大吉副社長)
(2023年12月18日1面に掲載)