企業研究vol.024 櫛引 柳一 社長

インタビュー|2019年08月09日

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( 公社)日本青年会議所の幅広い人脈を持つ

海外不動産販売の提案で資産形成支援

山形県酒田市を中心に約2000戸を管理する東洋開発(山形県酒田市)は2019年4月に設立25周年を迎えた。不動産や保険のプロフェッショナルとして、ベストミクスポートフォリオを提案する。国内だけでなく、海外の物件などオーナーの資産形成を支援する同社の取り組みを聞いた。

リスクを最小化する出口戦略や分散投資

――酒田市の不動産市場の現状をどのように見ていますか。

櫛引 酒田の人口は現在約10万人から、2040年には7万人に減ると言われています。地価はここ数年下がる傾向にあります。学区的に人気のエリアでは大きな値下がりはなく、需要の低いエリアの下落率が高くなっています。中古住宅の需要は高く、市場価格と合っていればすぐに成約に至ります。ここ数年で大きく変わったことは収益物件売買の増加です。地元からの問い合せもありますが、隣の宮城県や秋田県、さらには関東圏からの問い合せも多く、成約後そのまま管理させていただいています。競争が激しい大都市圏の物件をなかなか購入できない投資家が地方都市で価格的に求めやすい収益物件を購入する傾向があるようです。

――賃貸についてはどうですか。

櫛引 人口減少と賃貸物件の増加による需給のアンバランスと、働き方改革の影響か転勤者が少なくなったことで空室増加と賃料下落が見られます。ファミリー物件や高額な物件は特に決まりにくくなっています。常に変化する市況を分析検証した上で、どうアクションを起こしていけばいいのか提案できるよう意識しています。酒田市では元々は農家を営んできた地主も多く、20年ほど前から賃貸アパートを建てるようになっています。最初は自主管理で、ここ10年くらいは管理委託が増えてきました。地域的に入居率は70%を切る平均ですが、私どもの管理物件では90% 前後を維持しており、信頼を寄せていただけていると思います。また、相続か売却かの物件の出口をどうするのかを明確にし、その上で運用の提案をしています。オーナーの意向や、後継者の有無など、それぞれの環境は異なります。相続、大規模修繕、条件の見直し、売却、法人化など相談はさまざまですが、その中で何がベストかを一緒に考えています。社内体制も賃貸営業、管理、売却の担当の連携を密にして、売却に伴う管理離れを防いでいます。

――入居者確保のための取り組みとしてはどんなものがありますか。

櫛引 IT重説、電子決済、LINE問い合せ対応については以前からニーズがあり、やっと対応することができました。特に3、4月は市外県外からの引っ越しでIT重説の対応が多かったです。LINE問い合せ対応可能アピール後は徐々に増え、現在メールでの問い合わせと割合は半々くらいです。最近は沖縄で不動産を持つことになった経緯から、アクティビティ関係の法人と提携し、予約の際に当社からの紹介と伝えると割引が受けられるサービスを始めました。

――海外の収益物件などの事業への取り組みにも積極的ですね。

櫛引 今の時代、日本国内の不動産や預貯金だけでは資産を守れないと考えています。加速する人口減少や国の財政問題、史上類を見ない高齢化社会。地政学的にも日本のポジションはさまざまなリスクに直面しています。個人にとっての一番大きなリスクは、世界的な恐慌や為替の変動に円建て資産だけでは対抗できず、相対的な資産総額が目減りしてしまうことです。国の統計によると、日本の個人が持つ資産の内訳は国内不動産に偏り過ぎています。国内の不動産所有が悪いと言うのではありません。リスクヘッジのために国内の不動産だけではなく、海外の不動産や外貨建て資産もバランスよく所有すべきと提案しています。しかし、リスクを感じていても、実際に海外に行くのは大変ですし、海外での資産形成は怖いという方々が大多数かと思います。ここで私たち東洋開発の出番となります。私たちが実際に海外の現地に足を運んで不動産の売買に携わり、得た経験で、オーナーの資産構成や家族のライフプランに合わせたベストミクスポートフォリオを構築するお手伝いを全力でいたします。18年5月から始めた仮想通貨のマイニングマシン販売、管理の事業もお客さまの資産形成のために取り組んでいるものです。法定通貨ではないため変動幅も大きく、リスクはありますが、私たちが会社としても実際に行い、リスクを取りながら、かつ理解していただいたうえで提案しています。

――社内の福利厚生にも積極的に取り組んでいます。子育てや、ワークライフバランスについてどのように考えていますか。

櫛引 私たちの会社は、「お客様感動満足」を目指しています。そのためには、まず社員が満足していなければなりません。CS(顧客満足)はES(従業員満足)を超えられません。社員を大切にすることが、お客さまを大切にすることにつながるのです。また、当社は総勢17人の小さな企業ですので、社員はみな家族と考えています。家族の幸せを願うのが社長の役目です。創業当初からの社員の生活を尊重する取り組みが、最近になって、世の中から取り上げられ、「ユースエール認定企業」「くるみん認定企業」「山形いきいき子育て応援企業ダイヤモンド企業」「健康経営優良法人」など、さまざまな認定をいただいているという状況です。

本社前にはマスコットキャラクター「お元氣くん」像

――4月に設立25周年を迎えました。あらためて抱負を伺えますか。

櫛引 「お客さまの笑顔が私たちの喜びです」を企業理念に、不動産のプロフェッショナルとしてお客さまの不安や悩みを必ず解決するために行動しています。徹底したお客さま第一主義を貫き、現在・過去・未来に適さない不動産を無理に勧めることはありません。不安や悩みを解決し、「笑顔と元氣」をお持ち帰りいただくことを約束していきます。

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