シーンに合わせて家電稼働【在宅時間を快適に スマートホームサービス】

Amazon.com(アマゾンドットコム),飯田グループホールディングス,アクセルラボ,リンクジャパン,三和テレム,LiveSmart(リブスマート)

商品|2023年12月03日

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 家電や住宅設備をインターネットに接続し、生活の利便性を高めるスマートホームサービス。導入によって可能になる暮らし方の例と、賃貸住宅にサービスを提供する企業を紹介する。

外出先から自宅内の把握も

提供実績2万3000戸 操作権限を管理

 午前7時。カーテンが開く音で目を覚ました。「アレクサ、おはよう」

 Amazon.com(アマゾンドットコム:アメリカ・ワシントン州)が提供するAI(人工知能)システム「Amazon Alexa(アレクサ)」が内蔵されたスピーカーに声をかけると、エアコンとテレビが起動。ニュースを眺めながら身支度を整え、玄関の扉に手をかけた。「アレクサ、行ってきます」その声を合図にテレビやエアコンは停止。外に出ると玄関扉は自動的に施錠された。

 仕事を終えて帰宅中に窃盗事件のニュースを見た。自宅のIoT機器を管理するアプリをスマートフォンで起動し、窓や玄関の解錠履歴を確認。怪しい履歴はなく、そのままアプリで浴槽のお湯張りとエアコンの起動を指示した。

 快適な室温の自宅に帰り、すぐに入浴。食事後は早めに寝室に入った。「アレクサ、おやすみ」テレビや照明が消えると、間もなく夢の中に入っていく。

 これは、IoT機器やアプリの開発を行うアクセルラボ(東京都新宿区)が展開するスマートホームサービス「SpaceCore(スペースコア)」により実現する暮らし方の一例だ。

アクセルラボの暮らしの一例

アレクサに声をかけると照明がつき、テレビが起動(アクセルラボ)

 同サービスは、専用アプリをスマホにダウンロードすることで、IoT機器の一括操作を可能にするもの。接続できるIoT機器の多さと、きめ細かい導入支援が特長だ。退去者のアプリ操作権限を削除するなど、賃貸の入退去処理業務に使用可能な「リレーション機能」も実装している。

 賃貸管理会社やデベロッパーを中心に提供を行う。8月末時点の導入戸数は約2万3000戸、取引先企業数は317社だ。物件の価値向上や差別化などを目的に導入するケースが多いという。設置機器数によるが、初期費用は1部屋あたり10万円から20万円(税込み)ほどとなっている。

仕様変更して導入 QRで接続容易

 IoT機器・サービスの開発を行うリンクジャパン(東京都港区)は、スマートホームサービス「eLife(イーライフ)」を提供している。エアコンやテレビなどの家電や住宅設備を、スマホアプリ「HomeLink(ホームリンク)」で制御・操作することができる。

 特徴は、物件ごとに機器やサービスをカスタマイズできる点だ。セキュリティーに特化したい場合はスマートロックなどを、入居者の健康管理に寄与したい場合は同アプリを活用したオンライン服薬指導や薬の宅配サービスを導入する。

 eLifeは、IoT設備の管理を容易にするサービスも付帯する。管理会社向けのウェブページでは、IoT機器の稼働状況の確認や利用者情報の削除・管理を行う。入居者には、IoT機器の自動連携サービス「QR‐Link(リンク)」を提供。「QRコード(2次元バーコード)」をスキャンするだけで、事前に連携した家電をすぐ利用可能だ。家電の操作ができないよう、前利用者の情報は自動的に削除されるため、管理会社の管理負担を削減する。

新築35棟に設置 賃料アップに寄与

 電気通信事業の三和テレム(千葉県松戸市)は、賃貸住宅向けIoT支援サービス「IoTele(イオテレ)」を提供する。ネット回線の導入工事からIoT機器の設置、保守、運営まで行う。

 対応機器は顔認証機能付きのインターホンシステムのほか、スマートロックや電球など。設置したIoT機器はアプリ上での操作が可能となる。赤外線リモコンで操作する家電に向けた専用装置も提供。テレビやエアコンなどのリモコン情報を学習させることで、IoT機器と同じようにアプリ上で操作できる。

三和テレムのショールーム内の一部

9月7日にオープンしたショールーム内の一部(三和テレム)

 11月1日時点で新築マンションを中心に約35棟に提供実績がある。工事費用と合わせて1部屋あたり15万~20万円で提供できるケースが多い。導入した物件は5~10%ほど家賃を上げることができているという。広報担当の永瀬朋之氏は「24時間365日のサポート体制でトラブルに対応する。年内には約60棟まで提供実績が増える予定だ」と語る。

 9月7日には、IoT機器の有効性を理解してもらうことを目的に、松戸市にショールームをオープンした。部屋を模したブースで、IoT機器を活用した生活を疑似体験することができる。

LiveSmart、飯田GHDと提携

戸建て賃貸に採用

 スマートホームサービスの提供を行うLiveSmart(リブスマート:東京都港区)は11月8日、分譲戸建てハウスメーカーの飯田グループホールディングス(以下、飯田GHD:東京都武蔵野市)と提携。戸建て賃貸住宅にIoT機器を標準採用していく。

 提供するのはスマートロックやスマートスピーカー、Wi‐Fiルーターと、それらを制御する、住宅エネルギー消費の管理システムであるHEMS(ヘムス)のホームハブ「LS Hub E(エルエスハブイー)」と「LS Mini Next(ミニネクスト)」だ。ホームハブを介してHEMS対応の家電や住宅機器と接続。LiveSmartが開発するアプリを用いて操作する。

 LS Hub Eは電力メーターと連携するため、アプリで電気使用量の確認が可能だ。ホームハブを複数提供することで、居室内のすべての家電を操作できるようになる。

指紋認証で解錠する様子

指紋認証で解錠する様子

 玄関ドアに設置するスマートロックは、指紋認証やICカード、スマホでの開閉が可能。複数の指紋認証を登録すれば家族間での物理鍵の管理も不要となる。

 10月末時点で133戸に導入済み。今回の提携の背景には、同社がハードウエア・ソフトウエアを国内で製造することによる安全性の高さや、導入に必要な設備の数が少ないことによる導入の容易さがある。

(2023年12月4日8面に掲載)

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