JIA証券、不動産小口化商品を販売【クローズアップ】

ジャパンインベストメントアドバイザー,JIA証券,JIA信託

商品|2023年06月01日

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JIA証券 東京都中央区 佐藤歩社長(58)

 不動産を切り口にした資産運用商品の幅が広がる。東証プライム市場に上場するジャパンインベストメントアドバイザー(以下、JIA:東京都千代田区)のグループ会社であるJIA証券(東京都中央区)は、投資家向けに不動産小口化商品の販売を開始した。

信託受益権を投資家に提供

相続対策に効果

 JIA証券は、不動産小口化投資商品の第1弾の販売を4月から開始した。

 東京都渋谷区に立つ32億円相当のビルを全額小口化。1口500万円、最低投資額1000万円からの投資を受け付ける。予想分配金利回りは2.12%とする。

 同商品の最大の特徴は、対象不動産の信託受益権を小口で提供することだ。証券ではなく、信託受益権を商品化したものであるため、税務上は実物不動産と同じ扱いになる。そのため、相続が発生した際には不動産として評価され、資産の圧縮効果が見込める。

 JIA証券の佐藤歩社長は「証券会社として、投資家のライフプランに合わせた商品を提供していきたいと考えた。不動産をはじめとした商品組成力を持つ親会社のJIAの強みを生かしてできたのが、今回の小口化商品」と語る。

長期保有が前提

 同商品の運用スキームはこうだ。まず、対象不動産をJIAが選定し、JIAまたはSPC(特別目的会社)で取得。グループのJIA信託(東京都千代田区)が受託者として、不動産を信託化する。JIAは委託者として、同商品の運用を担う。今回の商品はSPCで取得しており、信託受益権の売主となる。JIA証券はSPCから受益権を購入し、投資家に販売する流れだ。

JIAグループの不動産小口化商品の仕組みイメージ

 投資家は、不動産から発生する賃料収入や売却益などの利益を信託配当として受け取る。

 メリットは、不動産受益権小口化商品とすることで、複数の相続人に分けて贈与することもできる点だ。相続時にトラブルが発生しやすい不動産の共有を予防しつつ、相続対策を進めることができるという。

 加えて、価格が高く1棟単位で入手しにくい、都内の一等地に少額で不動産を所有することが可能だ。

 デメリットは、流動性の低さだ。基本的には信託の運用期間を10年間としているが、不動産マーケットの状況を勘案しながら、5~10年までに売却する計画とする。

 「利回りは高くないが、賃貸経営に伴う手間がまったくかからない良さがある。長い目で見る商品だと考えている。資産家のポートフォリオ分散の一つとして活用してもらいたい」(佐藤社長)

住宅対象も視野

 JIA証券はグループ会社と連携しながら小口化商品の販売を継続していく予定だ。第2弾以降も、東京都千代田区・港区・渋谷区などの都心の一等地に立つ物件に絞り込み、選定する方針だ。

 「まずは第1弾を完売することが優先だが、今後は一定規模の賃貸住宅も商品化していきたいと考えている。一方で、不動産のデジタル証券化も検討している」と佐藤社長は話す。不動産を一つの切り口として、投資家との長期的な関係構築を目指す。

(河内)

(2023年5月29日24面に掲載)

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