賃貸住宅の建築企画を手がけるノリハウス(福岡県筑前町)は、2020年4月に1LDKの賃貸住宅ブランド「T‐Regno(ティーレグノ)」を立ち上げ、福岡県南部エリアを中心に受注を増やしている。21年3月末までに受注し、完成したT‐Regnoは9棟81戸。21年4月から23年3月には11棟105戸を受注し、2年間で20棟186戸をプロデュースした。
2年間で20棟186戸企画
T‐Regnoは、20代半ばの女性をターゲットにした単身者向けの賃貸住宅だ。平均的な専有面積は35㎡で、8畳のリビングダイニングに4畳の洋室がある。洋室との間仕切りは、すりガラス風のアクリル板で作られた3枚引き戸だ。引き戸は開くとすべて壁に収納でき、リビングとつながる仕様になっている。八尋俊和社長は「一般的な単身者向け賃貸住宅の間取りは細長い空間が多いが、T‐Regnoは正方形に近い造り。両方の壁面に家具や家電を置いても狭くならないようにしている」と語る。
玄関からリビングに入るドアには、LIXIL(リクシル:東京都品川区)の「ラシッサD ヴィンティア」を採用。マットな黒色の木目柄がレトロな印象を与える。床と天井は木目調でそろえ、床はシートを斜め張りしている。設備面では、スマートフォンで訪問者を確認し、通話、ドアの解錠、玄関の監視ができるIPインターホンの設置が可能。家賃は市場調査を行ったうえで、周辺相場に合わせており、5万円台が多い。6割が完成前に満室になり、4割は完成から1カ月以内で満室になっている。
八尋社長が経験してきた賃貸仲介営業の知見を生かして、仲介会社が案内しやすく、入居者が借りたいと思う間取りや設備、デザインを意識し、差別化を図っているという。そのため、相場の家賃でも、平均表面利回りが土地から購入した場合、7.5〜7.8%になる。土地活用の場合は9.5%だ。「家主だけでなく、建築会社や入居者、仲介会社を含め、すべての人が満足するビジネスを提供したいと考えている」(八尋社長)
同社は同ブランドのほかに、賃貸用の戸建て住宅やガレージハウス、店舗付き賃貸住宅、小規模葬祭場などの建築企画も行っており、それらを含めた20年4月以降の完成・着工済み件数は、23拠点で235戸になる。
23年度は、営業エリアを従来の福岡県南部エリアから、福岡県全域、佐賀県、熊本県、大分県に広げており、立地に合わせた新たな賃貸住宅のブランドを立ち上げていく計画だ。
「すでに福岡県北九州市や大分市で建築企画の依頼が来ている。高利回りの賃貸住宅を企画していくために、少人員体制でコスト削減に努めつつ、年間10〜15拠点で100戸程度のプロデュース件数を維持していきたい」(八尋社長)
ノリハウス
福岡県筑前町
八尋俊和社長(43)
(2023年6月12日5面に掲載)