企業研究vol.013 廣田 豊 社長

約5710戸を管理する不動産のデパートひろた(福岡県北九州市)はIT重説やRPAの活用によって管理・仲介など各事業を伸ばしている。単にIT活用に積極的なのではない。「社員一人一人が成長しようと、問題点を探し解決のために何が必要なのかを考える主体性を持っていることこそが当社の強み」と語る廣田豊社長に組織づくりについて聞いた。

社員が自律的に成長する組織へ

▲朝礼では毎日、経営理念や行動指針を唱和している

――今年の繁忙期は好成績だったようですね。

廣田 2019年1〜3月の賃貸仲介成約数は1234件で、前年比118%でした。ポータルサイトや自社サイトなどウェブ上に掲載した広告から問い合わせがあった反響獲得数は同133%、来店数は同108%といずれも前年を上回ることができました。売り上げは19カ月連続で目標達成しています。

――成約数が伸びた要因は。

廣田 多々ありますが、一つは仲介営業の分業体制が定着し、店舗スタッフが営業に専念できるようになったことだと思います。

――分業化のひとつはIT重説によって重要事項説明を本社に移管したことですね。

廣田 IT重説は19年1〜3月で443件実施しました。昨年の同期間は約230件でしたのでおよそ2倍です。ただ今年は件数ではなく、質にこだわりました。

――業務効率化につながるIT重説ではないと意味がないということですね。具体的にどのような内容にこだわりましたか。

廣田 こだわったのは、IT重説を実施する場所と日時、予約を入れるタイミングの3つです。昨年までは借主が来店し店舗のPCやタブレットを使い本社スタッフからIT重説を受けるケースが多かったのですが、これでは店舗で接客が必要になるため人手とスペースを取られてしまいます。そのため借主が来店せずに自宅でIT重説を受けるように努めました。2つ目は混み合う週末を避け平日にIT重説を実施すること。3つ目はIT重説の実施日時を前々日までに決めること。IT重説は本社勤務の他部門スタッフで構成したチームが行うため急な予約はスケジュール調整が難しいのです。今期はこの3項目において実施率が7割を超えました。

――7割超えるための、どのような働きかけをしたのでしょうか。

廣田 実施件数が増えても分業による業務効率が進まなければ、取り組む意味がありません。そのためには管理職だけでなく現場スタッフ一人一人が何のためにIT重説に取り組むのか、その目的を明確に認識する必要があります。私が注力しているのは、社員が問題意識を持ち主体的に改善しようと行動をする組織づくりであって、IT推進ではないのです。

▲IT重説をする様子 今年の繁忙期は443件を実施

――御社はIT重説やRPA活用を推進している企業という印象が強かったのですが、IT活用は組織づくりがもたらした結果のひとつなのですね。

廣田 そういうことです。当社では社員から業務改善案を募集しており、年に150〜200案件が提出されます。内容を吟味し優先度の高いものから取り組んでいきます。ただその改善策を詰めて実行するのは現場のスタッフです。幹部や上層部が考えたものを現場に押し付けても、真の改善は図れないでしょう。現場のスタッフが問題点やその原因を突き止め、改善策を考え実行する形をとっています。

――デスクワークをパソコンの中のロボットが自動で行うRPAの活用も業務改善の一環ですね。

廣田 RPAは現在、主に3つの業務で活用しています。1つ目は原状回復の見積もりを家主用の提案書に書き換える作業。2つ目は実需向けの売買仲介事業における物件価格の査定。そして3つ目が新規に管理受託した物件情報を基幹システムに転記する作業です。昨年は700戸を管理受託しましたので大幅な業務負担の改善につながりました。

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