働き方改革関連法施行迫る

賃貸業界は繁忙期の日々の業務に追われる時期だが、4月1日には働き方改革関連法施行を控え、不動産会社の残業時間や休日労働の削減が急務だ。
すでに動きだし効果を上げる不動産会社も出てきている。
4月から大企業を対象に働き方改革関連法が施行される。不動産会社の場合、資本金が5000万円より上か、従業員が100人より多いと該当する。
同法では、残業時間の上限を年間720時間、単月で100時間未満までと定めるほか、年間5日以上の有給休暇取得を義務付ける。
違反により6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。
中小企業は1年間の猶予を与えられ、2020年4月から同法の対象になる。
残業時間の問題は不動産会社にとってひとごとではない。
厚労省では18年8月に全国の長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を発表。監督指導を行った2万5676の事業場のうち、違法な時間外労働が発覚したのは45・1%の1万1592事業場だった。
同省の18年6月の発表では、17年6月~18年5月の期間中に労働基準法違反で不動産会社3社が社名を公表されている。
一方でいち早く残業時間の削減に取り組み、効果を上げている会社もある。キーワードは、外部委託も含めた分業化とIT化だ。
53万5661戸を管理する大和リビング(東京都江東区)は、段階を踏んで分業化を進めてきた。
14年に入居者対応のコールセンターを開設。16年には経理事務を担当するコールセンターを新設し、18年には工事の受注業務を行う拠点も設置した。
営業所の現場担当の業務を軽減したことにより、14年度から17年度までに月平均9時間の残業削減となった。


宮城県で9908戸を管理する山一地所(宮城県仙台市)は、18年1月から巡回業務を外部に委託。
アクシスモーション(東京都新宿区)の提供する『PMアシスト』を取り入れ、外部の主婦人材に管理物件の清掃や共用部の写真撮影を依頼した。
結果、社員の残業時間を1割減らすことができた。
5300戸を管理するウスイホーム(神奈川県横須賀市)は、15年から巡回業務にシニア人材を採用。管理物件の巡回や清掃などの担当とした。
繁忙期には管理部の電話対応も任せたことで、以前は21時、22時まで残業していた管理部のスタッフが1~2時間早く帰れるようになった。
IT化については、1万6562戸を管理するクラスコ(石川県金沢市)が自社開発のアプリを使い、建物点検や原状回復など業務をアプリ上で完結できるようにしている。
物件写真をスマホやタブレットで撮影すると、社内のシステムにアップロードされ、そのままレポートに情報があてこまれる。
そのため、自社システムへの情報の打ち直しや資料作成の手間がなくなった。
同社はパート人材の活用にも力を入れており、現在パートスタッフの割合は4割となった。
IT化による業務効率化とパート人材の採用で、管理部の残業時間を3年で36・5%削減した。クラスコの小村典弘社長は「働き方改革を進めていかなければ、人材不足の中、会社の存続さえ危ぶまれる。
当社ではプロジェクトチームをつくり、個別の業務に関しても効率的に働ける方法を実験している。
得られた効果は他の不動産会社とも共有していきたい」と話した。
中小企業にとっても同法の施行まで1年2カ月を切ったなか、残業時間を減らす環境づくりは差し迫った課題だ。
成功企業から学び、いち早く取り組む必要がある。

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