大和ハウス工業(大阪府大阪市)は、震災後初となる同社の高級賃貸マンション「ロイヤルパークス」シリーズの19棟目となる「ロイヤルパークスERささしま」を現在、愛知県名古屋市内で建築している。430戸の賃貸住戸と130室のシェアハウス、66室の老人ホーム、さらにデイサービスに保育所、物販店舗が併設されているのだが、同建物の特徴は名前に「ER」と入っているように、都市災害時に地域の緊急災害対応が可能な機能ビルとして、ヘリポートや医薬品の備蓄倉庫などを備えた「災害対応型」賃貸マンションであることだ。
「東日本大震災のときに消防ヘリによる救助活動が重要な役割を果たしました。ところが、都市部にはヘリコプターが止まれるようなビルが意外に少ないのです。そこで企画しました」(堀福次郎常務)
同マンションは来年3月竣工予定だが、同マンションで培ったスキルを生かして、現在増加している小・中学校の廃校跡地の利用法として、災害対応マンションを提案している。首都圏の15か所の自治体と協議を進めており、4月以降、大阪や神戸などでも取り組みを進める。
建設するのは15階建て程度で、賃貸住宅が入る上・中層階には医薬品などを保管する小型倉庫を設ける。自家発電設備を備え、非常用エレベーターは停電時でも使えるようにする。低層階は、高齢者向け住宅や保育園といった公共性が高い施設を設け、災害時に医療活動の拠点として使うなどの取り決めをする。
自治体にとっては、災害対応型マンション用として土地を売却したり貸したりすれば、公共性を保ちながら収入増につながる利点がある。
さらに同社では今後は海外、特にASEAN地域に災害対応マンションを輸出していくことも見据えているという。「海外で建てる場合は、クリニックを併設することで、駐在する日本人も安心して暮らせるようにしていきたいと思います」(堀常務)