「総資産のうち6割以上をオフィスビルとして、住居物件が3割以下、商業施設1割以下の比率で投資対象とします」。こう話すのは、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、不動産運用部長のスクワイヤーズ・タロー氏だ。当初は250億円規模の資金を集め3年後をめどに1000億円、中長期的には3000億円規模の運用を目指す。
このタイミングでの私募リート組成の裏には、不動産価格が下げ止まり、オフィスを中心に東京の投資市況は良好との判断があるようだ。いわゆる2012年問題に代表される新築オフィス大量供給による賃料下落リスクに対しても、大きな懸念は抱いていない様子だ。
一部でもてはやされる外国資本による日本不動産投資再開という臆測に対して「(今回の私募リートは)国内機関投資家から資金を集めて運用するもので、当社は直接投資は行いません。また、当面、海外投資家から資金を集めることもありません」(スクワイヤーズ氏)と答え、あくまで長期保有、賃料収入による配当を前提とする安定運用スタイルを強調した。
背景には、不動産を投資対象とした安定運用商品を求める機関投資家の要望もあったとうかがえる。私募リートで先行する国内大手不動産会社の運用成績が安定していることも後押しとなったようだ。
私募リートのメリットについて「上場リートは市場の動向に左右されます。一方、私募ファンドはクローズドエンド型のため保有期間が限定されます。私募リートの場合、不動産を半永久的に持ち続けることができ、安定運用を行いやすく機関投資家の期待に応えやすいという利点があります」とスクワイヤーズ氏は話している。
対象地域は東京が6割以上、その他大阪、名古屋、福岡などの地方主要都市も視野に入れている。また、物件規模はオフィスビルの場合30億円以上、住居物件の場合10億円以上が目安になるとのことだ。